BSプレミアムでやっていた反田恭平さんのショパンコンクールの演奏とインタビュー番組を見た。
(前回の記事で張ったNHKの番組紹介リンクは、放送が終わったら即切れてしまっていて、びっくり。)
まあ、それはさておき、ショパンコンクールでの反田さんで一番印象深かったのは、とても楽しんでいるなあってこと。
もっと、緊張感ピリピリなのかと想像していたから、ちょっとびっくり。
いや、当然緊張はしていたと思うけれど、それを感じさせないというか、楽しみ感の方が強かったというか。
一視聴者の私としては、楽しく弾いてくれた方が気持ちいいかなあ。
逆に一緒に緊張感を味わいたい人もいるかもしれないね。
でもきっと、反田さんのショパンコンクールの映像を見て、小さなピアニストたちは、「楽しそうだから、僕も(私も)出たい!」ってなりそう。
一緒に番組を見ていたうちの夫も「俺も、ショパンコンクール目指そうかなあ」なんて言うし。笑
いやいや、技術以前に年齢制限で引っ掛かりますから、どれだけ努力しても無理だよ〜、残念〜。
「でも、あのカンパネラのおじさんのように、『英雄ポロネーズ』オンリーで練習したら?」って言うと、
「いいね〜、俺、ショパン弾けるんだぜ!」って自慢できるなあ。」ってニヤニヤ。
こんなふうに、普通のおじさんまでその気にさせるほど、反田さんのピアノは素敵だった。
しかし、ショパンコンクールって、予選がいくつもあって、ピアノの技術はもちろんだけど、他にもいろいろ採点の対象があるんだね。
そのうちの一つが構成力。
ファイナルは2曲のうち1つを選ぶのだけど、他はショパンのどの曲を選んで、どの順番で、どういうコンセプトで弾くのか、自分で決めるんだね。
反田さんは、事前にこれまでの出場者の弾いた曲を片っ端から調べて研究したって言ってた。
どれを弾いて合格したか、落ちたか。
それを踏まえて、ショパンやショパンの祖国ポーランドのバックグランド、そして今パンデミックの中にいる世界を思い、選曲し、そして、それをどう表現し、審査員への自己アピールにつなげるか、とても緻密に計画していた。
ただピアノが上手いだとか、ショパンを猛練習したよってだけではだめなんだね。
それだから、ショパンコンクールは多くの人を魅了するのだね。
ただのショパン好きのコンクールじゃなかったよ。(失礼)
そんな反田さんだけど、ファイナルの直前に、綿密に決めていた構成で弾くのをやめた。
楽しんで、その時の心情で弾くことにしたのだそうだ。
ファイナルで選んだ曲は、反田さんがもっとも美しいと絶賛するピアノ協奏曲1番。
これは、迷う余地なしだったそうだ。
自分の大好きな曲を、オーケストラと共演するという、なんて素敵なシチュエーションだろう!
そりゃあ、楽しまなくちゃ損だよね。
反田さんが終始笑顔だったのが印象的だった。
演奏が終わる前から拍手が鳴り出し、とても感動的だった!
一次予選で、選んだスタインウェイの鍵盤が試弾の時よりも重く感じて、うわ〜って思いながらも、次の超絶技巧の曲を重い鍵盤でどう弾くか考えながら1曲目を弾いていたと言う反田さん。
その時、ファイナルであんなに拍手をもらい、2位入賞を果たせる未来を想像できただろうか?
いい意味でも悪い意味でも、コンクール慣れしていなかったと自身を分析していた。
怖いものナシ的な?
思うに、コンクールと私たちのピアノ発表会って共通していることが多い。
人に聴いてもらうためのピアノ。
だけど、自分が楽しむためのピアノでもある。
聴いてもらうために、入念な準備、練習をしておけば、当日、自分も楽しんで弾くことができるのだ。
準備不足だから、あれこれ考え、不安になり、緊張してしまう。
ま、私のこの間の発表会は、準備不足すぎて、目標値も低すぎて、思ったより緊張しなかったけど、それではいけない。
いい緊張感が持てるくらいにはならないと。
反田さんの話を聞いて、今度の発表会はもっとがんばってみようと思ったよ。